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2021年3月11日
皆さんは賃料収入などを得ている宅地等や賃貸アパート等の敷地として事業に供されている宅地等、その他の事業をするための宅地等を相続した場合、特例を適用することで相続税額を抑えることができると聞いたことがあるかもしれません。
個人が、相続や遺贈によって取得した財産のうち、その相続開始の直前において被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等(土地又は土地の上に存する権利をいいます。以下同じです。)のうち一定のものがある場合には、その宅地等のうち、一定の面積までの部分(以下「小規模宅地等」といいます。)については、相続税の課税価格に算入すべき評価額の計算上、一定の割合が減額されます。
これが、皆さんが一回は耳にしたことがある、土地の一定面積について相続税評価額を抑えることができる特例、すなわち「小規模宅地等の特例」といわれるものです。
小規模宅地等の特例は、相続人が生活の拠点や生活するための収入に直結する事業を継続できなくなるほどに、相続税を課さないための特例です。
相続したアパートやマンションの相続税について、以前コラム「相続した賃貸用のアパートやマンションの相続税など評価や売却、不動産収入について」でご説明を致しました。
事業用の宅地等について、貸付事業用宅地等や定事業用宅地等という言葉を聞いたことはありますでしょうか。
今回は、この貸付事業用宅地等と特定事業用宅地等についてご説明していきたいと思います。
宅地等:土地又は土地の上に存する権利(借地権等)で、一定の建物または構築物(アスファルト等)の敷地の用に供されているもの(棚卸資産等、更地の土地は含まれない)
事業用宅地等として相続する場合には、貸付事業用宅地等と特定事業用宅地等に該当する宅地等の小規模宅地等の特例を適用することで税額を抑えられます。
この貸付事業用宅地等と特例事業用宅地等には、それぞれどのような事業用の宅地等が対象となるのかわかりますでしょうか。
この事業用宅地等の違いや、小規模宅地等の特例を適用することで、どのくらい税額を抑えることができるのかご説明いたします。
貸付事業用宅地等とは、被相続人などが個人事業主として不動産事業で貸付をした宅地等で、相続した賃貸用建物の敷地やアスファルトなどで整備された駐車場などのことです。
確定申告における不動産所得の事業的規模について以前ご説明しましたが、この貸付事業用宅地等を考える際、不動産貸付における規模の大小は気にしなくて問題ありません。
貸付事業用宅地等である小規模宅地等の特例を適用することを選択した場合、面積200㎡まで評価額を50%抑えることが可能です。
貸付事業用宅地等に該当する宅地等として小規模宅地等の特例を適用するためには、相続開始の直前において被相続人または被相続人と生計を一にしていた親族の事業(不動産貸付、駐車場業、自転車駐車場業また事業と称するに至らない不動産の貸付、その他これらに類する準事業に限る)に供されていた貸付事業用宅地等を、一定の要件を満たす被相続人の親族が相続か遺贈により取得し、その取得した親族が相続税申告の期限を過ぎるまではその宅地等を所有し続け、そこで引き継いだ貸付事業の経営を継続することが条件としてあります。
平成30年4月1日から改正により、相続開始前3年以内に貸付事業の用として新たに供された宅地等ではないことが条件として加わりました。亡くなる直前に貸付事業を始めても小規模宅地等の特例は使えないことになりました。
また、相続開始前3年を超えて引き続き事業的規模の貸付事業を行っており、相続開始前3年以内に貸付事業に新たに供された宅地等はこの改正の除外となりますので、その新たな宅地等についても、小規模宅地等の特例は適用されます。
「小規模宅地等にかかる相続税の特例の見直し(平成30年度税制改正)」
※事業的規模の貸し付けについては国税庁HPでご確認ください
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1373.htm
相続開始の直前において被相続人または被相続人と生計を一にしていた親族が、相続や遺贈により取得した土地を、不動産の貸付、駐車場業、自転車駐車場業また事業と称するに至らない不動産の貸付、その他これらに類する行為である準事業以外の事業として使用していた場合には、特定事業用宅地等として特例を適用できます。
これは、建物を不動産等の事業ではない事業(貸付事業に該当しない)の事務所などに利用している場合です。具体的には貸付事業以外の事業を行っている会社の建物や店舗の敷地に供しているケースが該当いたします。
この土地の評価額について特定事業用宅地等の特例を適用した場合は、面積400㎡まで評価額を80%抑えることが可能です。
特例を適用するためには、相続税申告の期限を過ぎるまではその宅地を所有し続け、そこで引き継いだ事業経営を継続することが条件としてあります。
相続対策一覧「小規模宅地等の特例のまとめ」では、わかりやすく図で説明していますのでご確認ください。
複数の土地を相続する場合には、それぞれの土地に適用できる小規模宅地等の特例を選択することで、効果的な節税が見込めます。
特例の併用を検討する際には、それぞれの特例を適用できる面積の上限に注意し、うまく組み合わせていきましょう。
例えば、以下のような特例を適用することで、お得に相続することができます。
相続人と被相続人が同居しているような二世帯住宅は、相続の際に小規模宅地の特例を適用することで、税額を抑えられることはご存知かと思います。
二世帯住宅は特定居住用宅地として、小規模宅地等の特例を適用することで、面積330㎡まで評価額を80%抑えることが可能です。
その他、同居していない場合であっても、条件を満たしていることで小規模宅地等の特例を適用でき、税額を抑えることも可能となりますので、特例が適用できるかどうか確認してみると良いかもしれません。
二世帯住宅や同居していない場合の小規模宅地等の特例について、一定の条件を満たす必要がありますので詳しくはコラム「小規模宅地の評価や計算方法とは?」でご確認いただければと思います。
特定事業用宅地等の特例と特定居住用宅地等の特例の適用条件をそれぞれ満たしている場合に、合算して併用することができます。
先述しましたように、特定事業用宅地等は面積400㎡までの評価額を80%抑えることができ、特定居住用宅地等の適用上限である面積330㎡と合わせて、730㎡まで適用が可能です。
ただし、それぞれの特例の適用上限面積を超えることはできませんのでご注意ください。
例えば、
(1)特定居住用宅地等が420㎡で特定事業用宅地等が130㎡であれば、合わせて550㎡となり全体の面積としては条件をクリアしていても、特定居住用宅地等の適用できる面積が90㎡超えており、適用できるのは460㎡までとなります。
(2)特定居住用宅地等が130㎡で特定事業用宅地等が420㎡であれば、特定事業用宅地等の適用の適用面積が20㎡超えており、適用できるのは530㎡までとなります。
この他に特例を組み合わせる際に注意しておきたいこととして、貸付事業用宅地等もある場合には特例を適用できる面積が200㎡までという点です。
所有している不動産が多くある場合には、できるだけ評価額の高い不動産について小規模宅地等の特例を適用できるようにすることが、相続税の節税に大きく役立ちます。
宅地等の相続税評価額を知っておくことは、どのように相続するか特例の組み合わせを考える際に重要です。
弊社では、土地の評価や特例の組み合わせについて相続時だけでなく、生前対策として提案しておりますので、ぜひご相談いただければと思います。