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2018年3月30日
個人が所有する特定の美術品などは、美術館と個人が長期寄託契約を結び、美術館で保管されています。
寄託契約とは、簡潔に言うと物の保管契約のことで、保管する人(受寄者)がある物を所有する個人(寄託者)のために保管し、それを受け取ることで成立する契約です。
美術品の寄託契約においては、ある物は特定の美術品や骨董品で、受寄者は美術館です。
特定の美術品や骨董品などの文化財は、それぞれ物によって管理の環境条件が異なり、適切な温度や湿度で保存しなければ劣化してしまいます。また、美術館や博物館側としても、それらを研究・展示を行うことができるため、この寄託契約が結ばれています。
美術品など高価なものが相続財産となる際には、相続税の負担額が大きくなってしまうことがあります。そのため、今までは美術品を売却して処分し、それで得た資金を納税として使用するケースが見られました。また、鑑定の結果により相当の価値がある美術品や骨董品と判明した場合には、国や美術館に寄付をして優遇措置を受けるなどの方法がありました。
文化財保護などの観点から考えると、価値のある美術品や骨董品を美術館で保管できると良いでしょう。しかし、それらを所有していたいと思う個人からすると、相続はお金のかかる大変な作業でした。
相続税の納税猶予制度は、地域振興などのために、文化的価値を有するものを活用しやすくする文化財保護法の改正を前提に創設されました。文化財保護法の改正案は、2019年4月の施行に向けて通用国会での成立を目指しています。
これにより、特定の美術品の相続や遺贈、長期寄託契約の際の問題点を少なくすることができます。
個人が、特定の美術品の長期寄託契約を美術館と結び、文化財保護法に規定されている保存活用計画により文化庁長官の認定を受け、美術館に美術品を寄託したとします。そして、その個人が死亡し、特定の美術品を相続や遺贈により取得した者(寄託相続人)が、長期寄託契約や保存活用計画に基づいて寄託を継続した際には、その特定美術品にかかる課税価格の80%部分の納税が猶予されます。
寄託相続人は、寄託先の美術館が発行する証明書を寄託継続届出書に添付して、3年毎に納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。
平成30年度税制改正大綱には書かれていませんが、文化財保護法の改正を前提に創設されているため、それに併せての適用で2019年4月施行が見込まれています。
所有者と美術館とで寄託契約を結んでいない個人のコレクションの場合、絵画や陶磁器など美術品・骨董品は換金することができるため、通常通りの相続財産として扱います。
相続税には控除額があり、美術品や骨董品など数十万円程度のものであれば、課税対象とならない場合がほとんどです。そのため、相続人で話し合って配分できますが、価値が平等にならないなどの問題が起こることもあります。そのため、相続が発生した段階で鑑定を受けておくと良いかもしれません。