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2021年1月25日
信託とは、委託者から財産を預かって受託者がその財産を管理・運用するもので、相続財産となる予定の財産を相続対策として管理する際にも利用できます。
意思能力が失った後も、委託者の希望を長期に渡って叶えることが可能なものです。
この受託者が親族である家族信託について、契約手続きの流れや契約解除をする際の方法についてご説明します。
弊社では、相続税対策のほとんどは生前にしか行うことができないため、生前対策をすることをお勧めしております。
しかし、節税目的の生前対策だけではなく、高齢であることや認知症に備えて、財産管理についても任せておきたいと考えることもあるのではないでしょうか。
そのような際には、家族信託を利用して財産管理を家族に任せておくことで、生活費として利用もしつつ相続対策をすることができます。
家族信託でできる相続対策やメリットについて詳しくは、コラム「家族信託でできることやメリット・デメリット、遺言代用信託との違いについて」でご確認ください。
それでは、家族信託を行う際の手続きや流れを見ていきましょう。
信託を行う際には、信託銀行などで手続きを行うことが多くありますが、家族信託は家族に財産を任せるため、自分で手続きを行えます。
家族信託の手続きを行う前には、信託の終了の時期などについて相続のこともふまえてきちんと考えて設定しておくことが必要です。
委託者は家族信託を契約する際に、何を信託財産として託すか、誰を受益者にして、どのように信託財産を渡すか、受託者にどのように管理を頼むかなどを考えておくことが必要です。
そして、いつから信託を始めて終了はどのように設定するか、信託が終了したら残りの財産はどうするのかなどを決めておきます。
信託の設定の内容によっては、みなし贈与となり、贈与税が課税されることがありますので注意が必要です。
これら家族信託の設定を、委託者と受託者、受益者で把握しておきましょう。
計画した信託を基に、信託契約書の案を作成します。
信託契約書は作成が非常に難しく、不完全な契約書を作成しないために法の専門家などに相談(税制面では税の専門家がサポート)することをお勧めいたします。
作成した信託契約書の案から、すべての銀行が信託口座を開設できるとは限りませんので、信託口座の開設をどの金融機関で行うのか検討する必要があります。
信託口座を選択する際には、倒産隔離機能がある口座でなければ、真の信託口座とは言えないでしょう。
すべての財産を信託することはできませんので、信託できない財産については、遺言を作成する必要があります。
そのため、信託契約書の作成と同時に、遺言書の作成も検討する必要があるかもしれません。
公証人役場で、信託契約書の案から公正証書案を作成してもらいます。
それらを基にして、公正証書で信託契約書を作成していきますが、作成には費用がかかる点には注意しておきましょう。
信託財産の評価額が100万円以下であれば5,000円ほどで作成できますが、1億円を超えると4万円以上かかります。
財産の金額によって作成費用が異なりますので、詳しい金額については公正役場でご確認ください。
また、公正証書を作成しなくても信託することはできますが、作成しなかったことにより後にトラブルとなることも考えられますので、公正証書で作成することをお勧めいたします。
信託口座を開設し、信託契約書に基づいた預金の移動や、不動産の変更登記をします。
不動産の名義変更に関しては、委託者から受託者の名義へ登記します。
名義が、委託者でも受益者でもなく、受託者の名前に変更されますので、あらかじめ委託者に理解・同意してもらうことが必要となるでしょう。
信託財産は独立性を持ち、名義が受託者に変更登記されても受託者の固有財産とは区分され、受託者が勝手に信託財産を処分することはできません。
預金移動や変更登記が終了したら、受託者は信託財産の運用・管理を信託契約書に基づいて行います。
信託は、信託終了の事由が発生したとき、当事者の合意があったとき、裁判所の終了の命令があったときに終了します。
委託者が亡くなった後、すぐに終了するのではなく、あらかじめ設定した終了の事由が発生したとき、信託財産の残余財産は、残余財産を受け取るとされた受益者、または受益者以外の帰属権利者に指定された者に渡します。
委託者の地位は別段の定めがないときは、相続により承継しません(信託法147条)。
残余財産の給付が終われば信託は終了となります。
家族信託はどなたでも契約できますが、場合によっては利用することができません。
そのひとつとして、委託者が認知症などにより自分で判断できない場合が挙げられます。
この場合には、信託契約できないだけではなく、銀行口座が凍結されてしまうこともあります。
ですが、口座凍結の対策として家族信託は有効であるため、すでに認知症だけれども今後のことを考えて信託契約をしたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、認知症であると診断されても、信託契約をすることができる可能性はあります。
信託の契約ができるかどうかは、委託者が自分の意思で判断できるかの判断能力により左右され、本人が自分で判断できることが確認できる軽度であれば契約は可能です。
認知症だからと信託することを諦めてしまうと、口座凍結されて成年後見人を立てなければ預金を引き出せなくなることもありますので、軽度のうちに検討することをお勧めいたします。
信託契約が可能かどうかは、医師の判断などによりますので、専門家にご相談すると良いでしょう。
家族信託の契約は解除することが可能です。
ただし、信託契約を解除するには、終了事由を満たす必要があります。
信託法による終了事由には、以下などが定められています。
・委託者と受益者の合意
・定めた終了事由を満たしたとき
・信託の目的を達成、または達成できなくなったとき
・受託者が欠けて1年経過したとき
・信託財産・委託者の破産があった時
簡単な解除方法としては、委託者と受益者で契約解除の合意を結ぶ方法ですが、なかなか意思疎通が取れないなどの問題も考えられます。
信託契約を結ぶ段階で、契約解除ができるように終了事由について明確にしておくと良いでしょう。
信託財産は相続放棄することができ、また信託財産の受益権も放棄することが可能(委託者と受益者が同じ場合を除く)です。
放棄した場合には、そもそも受益者は受益権を所有していなかったことになり、その次順位の受益者や相続権のある者が受益権を引き継ぎます。
自動的に受益権が承継されないためには、『受益権を取得するには、受益者となる者が受益の意思表示を行う必要がある(信託法88条1)』を定めておくことが必要です。
この定めがあれば、信託財産の受益権を放棄する場合には、受託者に放棄の意思を示すことで成立します。
家族信託をする際に、新たに口座開設をされることが多いかと思います。
信託口座を新たに開設しなくても、受託者の銀行口座を使用することで信託は可能ですが、おすすめできません。
信託財産と受託者個人の財産が混ざってしまうことで、間違って使ってしまわないよう、口座を分けて管理しておいた方が良いでしょう。
信託財産である預金の管理者が変わった場合、そのまま口座の名義変更をしてしまえば口座開設する必要もない、と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
預金口座は相続が発生してから名義変更できるようになるため、家族信託をして管理者が変わったからといって、生前に口座の名義を変更することはできません。
家族信託の契約をした後の信託財産は、すべて受託者名義の財産となることをご説明しました。
しかし、信託財産と受託者固有財産とは区分されています。
信託財産とした不動産も、契約の条項で売買について定めていた場合には、目的に沿って受託者が、受益者の目的達成のため不動産売却をすることが可能です。
ただし、売買について定められていない場合には、受託者に不動産売却の権限がないため、売却することができない点には注意しておきましょう。
どうしても売却が必要と感じた際には、信託契約の条項を同意の上で変更したり、信託契約を終了したりすることで不動産売却はできるようになります。
売買する場合には、信託財産を管理している受託者が売主となり、不動産売却を行います。
その際の不動産登記は信託の契約をする際に委託者から受託者へ登記をしているため、そのまま受託者が売主として買主に登記を移動させる手続きをします。
不動産の相続登記をした場合、登録免許税がかかることはご存知かと思います。
家族信託をして、信託財産を受託者に渡した際にも相続登記が必要で、その際にも登録免許税はかかってきます。
移転登記の登録免許税については、コラム「移転登記による登録免許税について軽減措置の期限2年延長(2019年度税制改正)」でご確認ください。
家族信託をして、信託財産である不動産において不動産収入の受益権がある場合、不動産所得の明細書と信託財産の明細書を作成し、添付して確定申告する必要があります。
また、財産の全て(または一部)の財産を信託財産とした場合でも、そこに年間3万円以上の収入があれば、信託計算書の提出が必要です。
確定申告の際には、ぜひ確認しておきましょう。
今年の確定申告は終わってしまいましたが、来年の確定申告までに家族信託をする場合には、その点に注意しておきましょう。
また、信託契約につきましては、弁護士又は司法書士をご紹介し、税制面でフォーエイトがサポートさせていただきます。
不明な点などがありましたら、ぜひご相談いただければと思います。