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2018年8月3日
平成30年度民法改正により、配偶者の居住権に加えて、特別寄与について新しく第1050条が創設されました。
これまでも寄与分として請求することはできましたが、民法904条の2第1項で「被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付。被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別な寄与をした」場合に限定されていました。
また、その寄与の対象は、基本的に相続人でした。
この民法の改正により、相続人以外にも被相続人への貢献を考慮する旨が明確にされました。
特別寄与請求権の創設により、舅姑など被相続人への無償の療養介護や、労務の提供を行った(家族経営店の手伝いや、農業など)場合、相続人でなくても寄与分が認められるようになりました。
被相続人の相続人ではなかった親族、例えば、被相続人の子の配偶者などの相続人ではない人は、これまで相続分を受け取ることができませんでした。
今回の創設により、特別寄与者として、特別寄与料の支払いを請求することができるようになりました。
それでは、寄与と今回の特別寄与について確認しておきましょう。
寄与とは、特定の相続人に認められるもので、被相続人への無償の療養介護や労務があった場合に、相続分にプラスして財産を渡すことです。
今までの寄与であれば、舅姑の子の配偶者など相続人以外の人に財産を渡す場合には、養子にしたり遺言書で遺贈したりなどの対策が行われてきました。
今回の特別寄与料の請求権創設により、そのような者を特別寄与者として、財産を特別寄与できるようになりました。
寄与や特別寄与を行うことで、被相続人の意思を組んだ相続がしやすくなる、被相続人に尽くした人に公平に財産を渡せるなどのメリットがあります。
その一方で、寄与分により相続財産が減り、他の相続人が受け取る分が減ってしまうため、相続人同士でトラブルが起きることもあります。
この点には注意しておきたいところです。
他にも考えておきたい点については、こちらのコラム「遺産分割の遺留分と寄与分、特別受益について」をご確認ください。
今回の創設で、特別寄与料を自ら請求できるようになるため、養子や遺言書での遺贈などの生前対策が行われていない場合でも財産を受け取れるようになりました。
被相続人への療養介護や家事従事、扶養や金銭労務の提供の事実などの実質的要件を満たし、手続要件を満たしていれば、被相続人の親族(①6親等内の血族、②配偶者、③3親等内の姻族)は財産を受け取ることができます。
特別寄与を請求しても、寄与分として受け取ることのできる金額は、遺産分割協議で決めます。
相続人全員の了承を得て、決定した金額の寄与分を受け取ることができます。
寄与分がある場合の相続分の計算方法は、通常の計算とは若干異なります。
計算方法としては、遺産総額から寄与分として渡す分の総額を引いて、みなし相続財産で計算します。
みなし相続財産 = 遺産総額 - 寄与分の総額
このみなし相続財産を法定相続分、または遺産分割協議で決めた相続分で分割していきます。
寄与分を受け取る相続人は、寄与分にプラスして相続分を受け取ることができます。
被相続人の財産1億5000万円、法定相続人は子A、子B、子Cで、財産を法定相続分で分ける。寄与分はありません。
子A 1億5000万 × 1/3 = 5000万円
子B 1億5000万 × 1/3 = 5000万円
子B 1億5000万 × 1/3 = 5000万円
被相続人の財産1億円、法定相続人は子A、子B、子Cで、財産を法定相続分で分ける。なお、子Aは寄与分を3000万円要している。
①みなし相続財産:1億5000万 - 3000万 = 1億2000万円
②子A 1億2000万 × 1/3 + 3000万 = 7000万円
子B 1億2000万 × 1/3 = 4000万円
子C 1億2000万 × 1/3 = 4000万円
これまで、夫に先立たれた妻には、夫の家族からの相続権や居住権がなく、立場も不安定でした。
今回の民法改正により、配偶者居住権や特別寄与の請求権など、相続を実際の貢献分から公平に渡す制度が整ってきました。
とはいえ、これまで寄与分を認めてもらうことは、相当難しいものでありました。
特別寄与の請求権が施行されるまでにも、1年ほど時間がかかることが考えられますし、さらに運用が順調となるのには、時間がかかることでしょう。
それまでの寄与はどうしたらいいか、特別寄与を適用するにはどうするかなど、ぜひ、当税理士法人フォーエイトにご相談ください。