お電話でのお問い合わせ
受付時間(平日)
9:00~20:00
0120-400-800
お問い合わせ
年中無休|24時間受付
2018年6月1日
「法人化してしまえば節税になる」とはよく聞くのではないでしょうか。
平成30年税制改正では、この一般社団法人に関する相続税が見直されました。
今回の改正の背景には、一般社団法人を利用した節税が広まっていることがあります。
財産を社団法人に移すことで、贈与税や相続税がかからなくなるため、事業承継などの際の節税対策に使用されていました。
平成30年度税制改正では、この一般社団法人を利用した相続税・贈与税などの課税逃れを防ぐための見直しとなりました。
社団法人は、現在では公益認定を受けた公益社団法人と受けていない一般社団法人があります。
公益社団法人は、内閣総理大臣や知事などが公益性を審査・監督しています。
それに対し、一般社団法人は設立時に2人以上の社員(一般でいう従業員ではなく、株主に似た立場の人)が存在し、登記さえできれば誰でも設立することができます。
そのため、一般社団法人と言っても、営利目的である株式会社と同じように、実質的な営利活動を行っている法人も多くあります。
社団法人と株式会社の違いは、持ち主がいるかいないかです。
株式会社は株式配分があるため、株主のものであるのに対して、社団法人は出資に対する配分や払い戻しができない単なる人の集まりであるため、持ち主はいないことになります。
現状では、社団法人の理事や役員を務める人が社団法人を独占することが多くなっています。
この仕組みを利用することで、理事や役員を同族で独占し、相続税をかけずに財産や利益を移すことができます。
これらを活用し、事業承継の際の相続税対策などの節税に多く使われている現状があります。
以前からこのことについて見直しの必要があり、今回の改正に至りました。
平成30年度税制改正では、親族で独占している一般社団法人を個人とみなして、相続税を課税することになりました。
一般社団法人は、株式会社と異なり持ち主がいないため、理事や役員が実質的な権力者となります。
さらに、同族役員などで独占している場合には、その社団法人を個人とみなすこともできそうという考えがあります。
相続税課税の適用対象となるのは、特定一般社団法人に該当する場合です。
特定一般社団法人に該当するのは、以下のいずれかの要件を満たす一般社団法人です。
・相続開始直前の時点で、同族役員が役員の過半数を占めている
・相続開始前5年以内に、同族役員が役員の過半数を占めている期間が3年以上ある
同族役員とは、亡くなった役員の配偶者から、3親等内の親族を指します。
つまり、叔父や叔母、甥や姪までが同族役員にあたります。
これらの人たちが役員の過半数を占めている特定一般社団法人の理事(相続開始前5年以内のいずれかの時において当該理事であったものを含む)が死亡した際に、その理事から特定一般社団法人に遺贈されたものとして、相続税が課されます。
この平成30年度税制改正は、平成30年4月1日以降に設立された特定一般社団法人の理事の死亡から適用されます。
平成30年4月1日以前に設立された特定一般社団法人に関しては、平成33年4月1日以降に発生する理事の死亡からの適用となります。
特定一般社団法人の相続税額は、以下の計算方法で算出できます。
特定一般社団法人の純財産額 ÷ その死亡時における同族役員数(その死亡した理事を含む)
この計算方法では、同族の役員を増やすことで相続税は減らすことができます。
そのため、今後も改正となることが見込まれます。
平成30年度税制改正は、相続税などの節税対策が厳しくなり、一般社団法人にとっては不利な改正となりました。
しかし改正されたとはいえ、方法によってはまだまだ課税逃れを行うことが可能です。
そのため、今後も一般社団法人の相続税・贈与税に関する要件の明確化や、さらなる改正のための見直しが行われると考えられます。
事業承継に伴う相続や贈与など、早めの節税対策をお考えの際にはぜひご相談ください。